モダンな洋ものに満たされた部屋に、こけしってどうだろう?
ふいっと置いてみると、すっとなじんでくれます。
日々、大作こけしを作りつづけてきた手が、
ふっと力を抜いて作ったような、そんな味わい。
けれど、繊細で美しい木肌と、さわやかな絵筆の上品さ。
そんな、控えめだけどすがすがしい木の存在感が、
部屋にうまくよりそってくれるようです。
最も古いこけしといわれる宮城県の遠刈田こけし。
長く作りつがれたもの、語りつくせぬ手の経験が作りあげたものは、
かんたんに見過ごせない力を持つのかもしれません。
そんな愉しみかたをしてほしい品物です。
その昔、木地師という
山を中心に暮らしながら「ろくろ」を使って木から道具を削りだす職人たちが、
人々の毎日によりそいながら、その生活用品を生産していました。
こけしは、子どもの玩具としてその延長にあるもの。
さらにその延長に誕生してしまったのが、このアイテムたちです。
その鮮明な赤の色には「赤物」として、
昔の生活のなかで恐れられた天然痘を払い、子どもの健やかな成長を祈る、
そんな意味も、こめられています。
作品は、宮城蔵王のふもとの遠刈田の町で育まれた「遠刈田系こけし」の本場工房からやってきました。
作品を追求するあまり、道具すら自分で鍛冶してしまう、「ザ・職人」というべき気質のたまもの。
その繊細なろくろ技が作りだすしっとり美しい木肌、やさしく鮮やかな筆づかい。
可憐で何ともいえない存在感のある品々を生み出しています。
東北各地さまざまに愛らしい伝統こけし。
じつは、この「伝統こけし」ってれっきとしたブランド名ってご存知でした?
国の「伝統工芸師」(工人)の師弟の間だけで継承された意匠をもつものが、「伝統こけし」と呼ばれます。
その模様、目鼻だち、形──。すべてのトラディショナルな意匠は、
伝統こけしだけに使われ、それ以外で使うことは認められていないとか。
こうして、師弟たちの手で東北各地の美がたいせつに守られ、次代に継承されているんですね。
こけしって、知れば知るほど深い世界ですね。
くらふとくらすのこけしは、こうした伝統こけしの宮城の老工人の手によるもの。
直径3cmほどの頭の木地さえ、人の手がろくろで削りあげた、機械よりも正確な味があります。
宮城県・遠刈田系こけしの、細い銅や、頭のてっぺんの愛らしい花模様、
すっとした目鼻立ちも、どうぞコレクションの一つとして、末ながく愛玩してあげてください。