【STARRYペットアドバイザー 加藤ゆかり先生コラム】2019.12.18

「市販フードの与え方と選び方」について

今年もあとわずかとなってきました。これからの時期、
クリスマスにお正月と“美味しい”イベントが続き、みなさんのパートナーも
ごちそうをいただける嬉しい時期かと思います。
とは言っても、通常は市販のフード利用という方が圧倒的に多いですよね。
今回はその市販フードについてお伝えします。

《フードを変える前に〜与え方を見直してみよう》

「食べる」ということにフォーカスした場合、
・食べない、食いつきが悪い、食べるのが早い
・この子に合っているのか?どれを選べばいいのか
というお悩みが多く出ると思います。

そして大抵の方が「フードに問題がある=フードを変えなければ」とフードを選ぶことに一生懸命。
でも世の中には星の数ほどのフードがあるため、どれが良いかわからない、決められないというフードジプシーになってしまうことも。
そうなってしまうと、犬にも悪影響。

なので、まず“与え方”を変えてみませんか?

通常みなさんは、フードボウルに入れて与えていると思いますが、そもそも犬は人のように器を使う生き物ではありません。
捕食行動をして生きてきた動物です。だからといってそれを今させることは不可能ですので、それに近い形にしてみるのです。

KONGやビジーバディなどの知育トイはその代表ですね。
でも、購入して使わなかったら・・・。そんな方には、結んだタオルに仕込む、ラップの芯の中に入れる(両端は折って閉じる)、ペットボトルに入れる、など身近なものでまずトライすることをおすすめします。
マフィンカップや製氷皿なども使い勝手いいですよ。



これらの方法は、口や手を使いますし、当然脳も使います。
そして課題を自らが克服することで報酬(食べ物)を得るので、満足度が上がるのです。 もちろん、時間もかかりますので早食い防止にもなります。

地面(床)にばらまく、キャッチさせる、などお行儀悪いと思われがちなことも、犬にとっては満足度の上がる与え方なのですよ。
フードボウルから与えられるということは、私たちは楽なことでも、犬にとっては退屈であったり面白みに欠けたりしているのかもしれませんね。
きっと食べてくれれば、フードを安易に変えなくてもよかったりするかと思います。
ただし、このようなことをしても食べない場合は病気の可能性もあるので、掛かり付けの動物病院を受診することをおすすめします。



《お悩みとフードの関係》

次に、「食べる」以外のお悩みについてですが、臭い、毛艶が悪い、というものから、皮膚や耳、消化器系などに症状の出ているものまで数多くあげられるかと思います。
フードを変える理由の一つがそういったお悩みでもあるでしょう。
でもちょっと待って!
その身体のトラブルの状態をしっかり把握しましょう。どんな疾患なのか、フードが関係するのであればどのようなものに変更すればよいのかなど、掛かり付けの動物病院にまず相談することをおすすめします。

診断の上、療法食等が必要な場合はそれを、健康ではあるけれどフードを変えることで改善するかも?な時には、見合ったものを選ぶということが良いと思います。

病気を抱えていない場合、匂いや毛艶などはフードを変えるだけで改善することもよくあります。



《フード選びの基準》

同じ犬種・年齢・性別であっても、同じフードでよいわけではありません。
個々の体質、生活環境などが違えば、いわゆる“合うフード”も変わってきます。例え同胎子であっても。
なので、対象となる子の体質、環境、運動量などをよく観察することが大事ですね。

去勢避妊していれば太りやすくなりますし、ドッグスポーツなどをしていればたんぱく質量も多く必要でしょうし、年齢などによっても大きく変わってきます。

それらを踏まえた上で、原材料などを見ていくつか選んでいくと良いでしょう。
フードのラベルには様々な情報が詰まっていますので、ラベルをよく見ることは大切です。

実際に与えたことのある方に聴くのも有効ですが、SNSの情報は惑わされやすいで注意しましょう。
取扱店に伺うのが一番わかりやすいと思います。

可能ならサンプルで実際のフードを見て触って匂いを嗅いで、パートナーにも同様にして、反応をみるといいですね。
但し体調の変化については最低でも1週間ほど与えないとわからないので、
切り替えるのであればそれを目安に(少しずつ混ぜて切り替えるのであればその期間もプラス)始めてみるとよいでしょう。


《注意したい原材料》

こんなタイトルをつけると、みなさんの頭の中には「添加物」が浮かぶと思います。
はい、添加物、特に合成のものは要注意ですし、すでにご存じですよね。

そうではなく、主要原料である肉類です。
最近は肉量の多い、高たんぱく質のフードが人気ですが、実は注意が必要なのです。
動物性たんぱく質は高エネルギーなので、スポーツドッグなどに最適ではあるのですが、
普段からエネルギーレベルの高い、つまり興奮しやすい、過剰反応がある、という子の場合、それを増長しやすいと言われているのです。
特に、チキンやラムなど。この2種類、薬膳では熱性の食材であり、身体を温める作用が高いものです。興奮している時、体内は発火している状態なので、チキンやラムを与えるということは、そこに油を注いでいるということになるのです。

また、馬肉は冷性なのでこの時期は身体を冷やし過ぎてしまう=免疫力低下の心配もあります。

日替わりでというのは難しいと思いますが、パートナーの身体だけではなく、心・行動の状態も、フード選びには重要な要素となることも忘れないでくださいね。



《ごはんタイムは楽しく》

長年犬の仕事をしていますと、とても多いのが食のお悩み。私自身もフードジプシーでしたのでお気持ちは痛いほどわかります。
が、私たちが悩めば悩むほど、パートナーも辛いのです。
「自分のことで大好きな家族が悩んでいる・・・」
彼らにとっては耐え難いこと。
私たちだってなにか考え事をしていたら食事は美味しくないし喉を通りません。

ですから、与え方も選ぶことも是非楽しんで行ってください。
最愛のパートナーのために。
そうすることで、より、お互いに健康になれることでしょう!

パートナーと素敵なクリスマス、そして新年をお迎えくださいね。



加藤ゆかり先生は、パートナーであるオーストラリアン・シェパードの女の子Alana(アラナ)と共に
セミナーやイベントなどで活躍中。
★詳しいご紹介はこちらからご確認いただけます!

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