【STARRYペットシッターコラム】2019.11月号

ペットシッターの渡部暢子の日々のつれづれ vol.9
「今につながる動物たちとの記憶」

皆さん、お久しぶりです。今年もあと2ヶ月をきりましたね。
年々時の流れが早く感じて、焦ってしまう今日この頃です。
今回は私がまだ小さかった頃のお話です。
動物が好きで好きでたまらなかった子供時代。皆さんの子供時代はいかがでしたか?
この頃は1日がとっても長く、ワクワクがいっぱいだったなーなんて思い出しながら書いてみました。
リラックスして読んでもらえたら嬉しいです!


あれは小学4、5年生くらいだったかと思います。
友達の家で遊んだ帰り道、日が暮れるちょっと前、一人でとぼとぼと歩いていた時に一匹の猫ちゃんと出会いました。
たぶん1歳前後でまだ子猫の面影がある猫ちゃん。道路の端っこのU字側溝に沿ってゆっくりと歩いていました。
私は惹きつけられるようにその子に近づいて行きました。驚かせないように、ゆっくり、ゆっくり。その子も逃げる様子もなくこちらにむかって来たのです。
「ねーこちゃん」可能な限りの甘ったるい声で呼びかけると、その子は私にすり寄ってきたのです。「か、か、かわいい・・・♡」
私は高まる気持ちを抑えて、背中から尻尾にかけて、優しくそーっと撫でました。その子は私の気持ちに応えるように、お腹をみせてコロンコロンとご機嫌に転げてみせてくれました。

ズッキューーーン!
なんて罪な猫ちゃんなんでしょう。私のハートは見事に撃ち抜かれました。

今であればその時点で飼いネコかな?(人なれし過ぎてる)・・と思うのですが、その頃は、懐いてくる→私の事が好き→私と暮らしたがっている→連れて帰るしかない。と思い込み、ついに私はその子をゆうかいしちゃったのです。

「この子を絶対うちの子にするんだ!」
ドキドキしながらその子を抱いて、早足で家に帰りました。その日は土曜日で母親と弟はスイミングスクールで留守でした。家には私一人です。

「しめた。」
帰るないなや自分の部屋にその子を連れ込み、部屋中に毛布を引きつめました。私が出来る最高のおもてなしをして、その子の機嫌を損ねないように、うちに来てよかったと思ってもらえるように、必死でお城を作り上げたのです。いけない事をしているという罪悪感と、これから始まるその子との生活に、ドキドキが止まらなかったことを覚えています。

すっかり日が沈んで真っ暗になった頃、いつもの車の音がしました。

ドキン・・・。「帰って来た」

スイミングスクールから母親と弟が帰ってきました。
ばれたらどうしよう・・・、いや大丈夫、大丈夫、落ち着いて・・・。
あせっている私をよそに、愛しのその子は毛づくろいに夢中です。
「大丈夫、守ってあげるからね!」(→勝手に連れ込んでよく言うよ。)

「ただいまー!」
勢いよく弟が帰ってくると、想定外の動きが!
そのまま二階に掛け上がり、いきなり私の部屋の扉をあけたのです!今日に限ってナゼ?
「のぶこちゃーん、勝手にマンガ持ってった・・べぇ・・・・」
いるはずのない猫をみて、弟は一瞬言葉を失って、
「・・・のぶこちゃん、猫どうしたの?」
そんな弟にまで、スリスリする愛しのこの子。なんでマンガを勝手に借りてしまったのかーーー。

私は子供ながらに、この子がこれから家で暮らすことの必要性と、私が連れてきたことの正当性を必死で説明しました。
まとめると、
「二丁目の花屋の近くを歩いていたら、この猫が寂しそうに一人迷っていた。たぶん捨て猫だと思う。このままだと死んでしまうかもしれない。いや恐らく死んでしまう。冬だし。だから、私はしかたなく助けた。お母さんは大人だからすぐには許してしてくれないだろう。でも時間をかければわかってくれる。今日のところは猫のことは言わないでほしい。お前も猫好きだよね。」ざっと、こんな内容でした。
(お気づきの通り、猫は迷ってもいないし、コロコロとした体で死にそうでもない、ただのサービス精神旺盛な人懐っこい猫だったのです。)

私の話を聞いた弟は、
「わかった。おっかぁ(←お母さん)には言わない」
確かにそういった、それはハッキリと覚えています。やっぱり兄弟だ、話がわかる。

弟は静かに扉をしめ、階段を下りていきました。
そこから先はあっという間の出来事、
ドンドンドンドンドンドン(←階段を降り)、スー(←茶の間の襖を開ける)、スー(←襖を閉める)、

一息ついて、せーの、
「おっかぁー!!おっかぁー!!」
「のぶこちゃんの部屋に猫いるよーーー!!」

「あいつーーーーーー。」
私は大事なことを忘れていたのです。
・・・そう、弟は口が軽い。

猫ちゃんとの甘い生活は、ほんの数時間程度で幕を下ろす事になりました。今思えば、その子にはちゃんと家族がいて、ご飯の時間になっても帰って来ないからすごく心配したよね・・・。ごめんなさい。泣きながら出合ったあの場所にその子を連れていきました。寒い冬の夜の出来事。


私の小さい頃の夢、それはたくさん動物と一緒に暮らす事。
生き物へのあこがれは今も消えることはなく、ペットシッターを始めることにつながります。
幼稚園にいたアヒルやウサギ、何故か親戚の家にいた牛(あの子はなんでいたんだろうね。)、庭に迷いこんできたインコ、脱走したリス、一緒に暮らした犬や猫たち、あの日の猫ちゃん・・・。
遠い記憶にはいつも生き物との思い出があります。
そして、いい思い出と同じくらいの、してあげられなかった事。その思いが、ゆうかい犯をペットシッターにさせたのかもしれません。


最後に・・・
あの頃の私へ、
あなたの夢は叶っているよ。
そして、あなたの弟は責任感の強い立派な父親になっています。(笑)

次回もお楽しみに!






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